[5] 振り子の科学(下)

2002/08/07


 今回は振り子の応用実験編です。フィルムケースを縦に重ねてセロテープでつけて柱にしたものがあります(写真1)。右から四個、六個、八個のケースで作ってあります。この高さの異なる柱をテーブルの上に並べてみましょう。ここで挑戦です。テーブルをゆらして、ひとつの柱だけを倒すことはできるでしょうか。
 前回は振り子でしたが、高さの違う柱は振り子を逆さまにしたものと考えて下さい。それでは次の手順で試してみましょう。 


(写真1)長さの違う3本の柱


(写真2)テーブルをゆらしたら一本だけが倒れた

 

 (1) テーブルを少しゆらします (2) このとき、それぞれの柱のゆれ方がすべて違っているのを確認します (3) 倒したい柱のゆれに合わせてテーブルをゆらします。このときあまり激しくすると全部倒れてしまいます (4) ねらった柱が倒れたら大成功!(写真2)。
 実は柱も長さによって振動する周期が決まっているため、ひとつの柱だけを倒すことができるのです。フィルムケース以外にも、給食で出るヨーグルトの空容器などを重ねて積み上げると同じ実験ができます。 

 

 大地震で、倒れる建物と倒れない建物があるのは、地震による大地のゆれと建物の高さによる振動の周期の共振が原因の一つになっているのです。一九四〇年には、アメリカ・ワシントン州のタコマ橋が、風と橋の共振により壊れてしまったという事故がおきています。ですから近年は建物を造るときは、共振を考慮しているのだそうです。
 今回は振り子の実験を通して共振という現象を見てきました。実は歴史を振り返ると、一五〇〇年代後半には、イタリアの科学者ガリレオが振り子の性質と力や物の運動についての研究をしています。その後、オランダのホイヘンスは精密な振り子時計を開発しました。
 振り子は人間の歴史の中で、科学や技術と深く結び付いていたことがよく分かります。
 

(展示情報係 岡田 努)

 

2002年7月26日 福島民報新聞 「スペースパークで挑戦 夏休み!科学実験」より


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