このところ、あらためて自然の力を感じる出来事が多いですが、私たちが暮らす地球は、いつ、どのようにしてできたのでしょう。「地球誕生から46億年」とひとことで表わされたりしますが、あまりに長い時間の流れで、ピンとこないかもしれません。
そこで、地球の歴史を1年という時間の流れに置き換えて、少し身近にしてみましょう。1月1日0時0分0秒に地球が誕生したとして、紙面をご覧になっている今この瞬間を12月31日23時59分59秒とします。いつ、何が起きたのでしょう。
宇宙から見た現在の地球
まず地球の姿に目を向けると、誕生後1月の中旬までは、表面は非常に熱く、マグマの海で覆われていました。1月17日ごろ、実際の時間ではおよそ44億年前に地殻ができます。
一方で海ができたのは、2月9日になってからです。最初のころの地球は熱さのため、大気の大部分が水蒸気でした。いわば、地球がすっぽりと、サウナに包まれたような状態といえます。時間が過ぎ、だんだん冷えてきたことで、水蒸気が雲となり、雨が地表に大量に降り注ぐことで海と陸を造りだしました。
海ができたことは、生命誕生の大きな一歩となりました。2月17日に、海の中でたんぱく質や核酸という、生命を作るのに大切な物質が作られます。そして、2月25日に最初の生命が誕生したと考えられています。その後、生命は海でゆっくりと進化をしていきます。しかし陸に生命が上がり始めたのは11月28日で、ずいぶんと時間が必要でした。
それには、地球に磁石の働きが備わり磁場に包まれることと、オゾン層が作られることという、二つの条件がそろうことが必要だったのです。5月31日に地球が磁場に包まれます。これで、地球表面が太陽から降り注ぐ荷電粒子、つまり放射線から守られるようになります。オゾン層ができたのは11月14日になってからで、これで紫外線の降り注ぐ量が大幅に減りました。これらの条件が整わないうちは、生命は水に守られて生きざるを得なかったのです。
陸に上がりつつあるころの生命 (C)GOTO
つまり、陸上に生命が現れてからは、1カ月ほどしか過ぎていないことになります。しかも恐竜の全盛期は12月中旬からで、恐竜が絶滅したのは12月26日となります。私たちの直接の祖先といえるホモ・サピエンスの誕生は12月31日20時40分ごろ、産業革命が起きたのは23時59分58秒の出来事です。
人類が陸上にいる、ということが地球の歴史の中でもほんの少しで、そして現在の私たちの生活が急速な文明の進展でできたことがわかります。一方、地球にとってあまりの急激な変化がどのような影響を与えるのだろう、とも思えてきます。
2月の宇宙劇場のプラネタリウム一般番組では、そんな地球の歴史をカレンダー形式で紹介しています。壮大な地球の歴史を感じてください。
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(郡山市ふれあい科学館 事業課 安藤 享平)
2011年2月17日 福島民報新聞 情報ナビ[たいむ] 「スペースパーク便り」より