イタリアの科学者であるガリレオ・ガリレイが望遠鏡で宇宙の姿を観測し、それまでの肉眼で見て考えていた姿と大きく違う宇宙像を明らかにしてから400年がたちます。現在は天文学の発展により、非常に幅広く宇宙のことが分かるようになりました。
今回は、宇宙の壮大な歴史を振り返ってみましょう。
宇宙の歴史を1枚の絵にまとめると… (C)GOTO
〜宇宙の始まりは〜
私たちのいる宇宙は、今からおよそ137億年前に誕生したとされています。非常に小さく、高温で宇宙にあるすべてのものが、ぎっしりとごちゃごちゃの状態で詰め込まれた状態でした。
ビッグバンという大爆発によって、宇宙は急激に大きく広がり、冷えてきます。宇宙誕生からおよそ3分後には、現在のあらゆるものを作る基本である「原子核」が作られますが、それが水素やヘリウムという「原子」になったのは、30万年近く過ぎてからとされています。
それから4億年近くが過ぎて、水素やヘリウムのガスが集まり「星」が誕生したのです。
〜私たちは星から生まれた?〜
この最初の宇宙の歴史を見ると、私たちの体や身の回りのさまざまなものを作る「元素」がありません。これらは、星の中で作られていきました。
星は「核融合反応」で光や熱などのエネルギーを作ります。その時に、水素やヘリウムが別の元素に変化をして、星の中で酸素や炭素といった元素が作られていきます。
最後には星は輝き続けることができなくなり、周囲にガスを広げて終わりを迎えます。その時、重い星は爆発をしますが、その衝撃で金や銀など、鉄より重い元素が作られます。その広がった星のガスが、宇宙を漂い、また別の場所で星を作るガスの中に含まれていきます。このことが繰り返されるうちに、宇宙にさまざまな元素が増えていきました。
こうした時間が過ぎて、およそ50億年前に太陽が誕生し、その後惑星が作られます。地球も誕生し、人間をはじめとした生命も誕生することができました。宇宙の歴史を振り返ると、私たちの体を作っているものは、多くが星の中で作られたものと言えるのです。
「宇宙カレンダー」でも12月31日は大忙し! (C)GOTO
〜宇宙カレンダー〜
こうした宇宙の壮大な歴史を振り返ると、あまりに長い時間でぴんと来ないものです。宇宙の137億年という時間の流れを、私たちになじみ深い1年という時間に縮めてみましょう。宇宙誕生が1月1日午前0時とすると、太陽系の誕生は8月20日ごろ、人類が誕生したのは12月31日午後11時52分となります。今日11月19日は、海の中でゆっくりと生命が進化しつつあるころです。
科学館では、この「宇宙カレンダー」をご来館の方にお配りしております。また、11月29日には世界天文年2009日本委員会委員長の海部宣男さんと、この宇宙カレンダーを語り合う「サイエンスカフェ」を行います(申込制)。
壮大な宇宙の歴史を見て、ゆったりとした気分になるのも良いでしょう。
(事業課 安藤 享平)
2009年11月19日 福島民報新聞 情報ナビ[たいむ] 「スペースパーク便り」より